11日午後2時46分、三陸沖を震源とする地震が起き、宮城県北部で震度7を観測した。気象庁によると、マグニチュード(M)は国内観測史上最大の 8.8(暫定値)を記録。同3時15分にもM7.3の余震があり、茨城県南部などで震度6弱を観測した。仙台新港に高さ10メートルの津波が到来したほ か、同50分に福島県相馬市で同7.3メートル以上の津波を確認するなど、北海道から沖縄県まで広い範囲に津波が押し寄せた。
時事ドットコム:M8.8、死者300人超=行方不明540人以上−大津波10m・宮城で震度7
その時、市議2期目を目指す先輩の選挙事務所でノートPCに向かっていた。体調も良くなかったので、最初は目眩かと勘違いした。しかし、壁に垂れ下がる電気ケーブルが揺れているのに気づいたのが先か、それとも事務所自体が大きく横揺れし始めたのが先か、そこで初めてただならぬほど大きな地震だと理解した。
すぐさま事務所の外に出て、近くの青空駐車場へ向かう。ほどなくして近所の人たちや通行人も何人か集まってきた。見上げると左右に大きく揺れる電柱、波打つ電線。そして座り込みたくなるほど大きく横揺れを続ける大地。恐怖を感じるよりは、現実に動いている大地を目の当たりにして奇妙な感動を覚えていた。
どのくらいの時間が過ぎたのか分からないが、長く続いた揺れがようやく収まる。携帯で親に連絡を試みるが繋がらず。ところが、固定電話ではあっさり繋がり、互いの無事を確認。数時間後、携帯メールが徐々に復活してきたので、各方面へ送信。結局、通話は終日繋がることは無かった。
事務所にテレビが無いため、ネットで情報収集。NHKのUSTREAM特別放送を発見、東北の三陸沖が震源の大地震と知る。断片的な情報によって次第に大地震の輪郭が見えてきたが、その中でも宮城県名取市で撮影された平地を襲う津波の映像はあまりにも衝撃的だった。
地上にあるもの全てを飲み込みながら、真っ黒な塊が大地を覆い尽くしていく。目を凝らすと、黒い塊の中には沢山の車や船、そして家までも。現実として受け止めるには、あまりにも非現実的な光景。
だが、津波が遡上を続けるこの瞬間にも、確実に「誰か」の命が奪われている。その中には、旅先ですれ違った「誰か」もいるかもしれない。コンビニやガソリンスタンド、そして食堂の店員さん。道を教えてくれた人たち。他愛ない会話を交わした人たち。
東北の美しい景色とそこで暮らす人たちを、地震と津波は一瞬にして奪い去ってしまった。
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